Friday, June 26, 2015

在日本務農

「いつか自分で牛舎経営を」と遠藤さん

故郷を離れ、青森の地で酪農家を目指す女性がいる。青森県営農大学校(七戸町)畜産課程2年の遠藤響子さん(19)=秋田市出身=は、牛を育てる奥深さに魅了され、一生の仕事とする決意を固めた。親族に農場経営者がいるわけではない。「青森に根付いて、いつか自分の手で牛舎を経営したい」。業界の経営難、後継者不足が叫ばれる中で奮闘する有望株に、周囲もエールを送っている。
新岩手農協の海外技能実習生歓迎会は19日、岩手町江刈内の岩手広域交流センタープラザあいで開かれた。フィリピンから来た男女36人が、同町での農業技術習得に意欲を示した。
◆現場リーダーの20代 意欲
 現場スタッフは女性が四人と男性よりも多く、二十代も三人いる。場長を務めるのは東京都出身の岡村奈々さん(24)。「経験とやる気」を買われ、抜てきされた。搾乳作業や牛舎の清掃など、朝早くから精力的に仕事をこなしている。
 この道を目指すきっかけは高校時代に参加した北海道での酪農研修。「大好きな動物や自然に囲まれ、楽しそうな仕事だと思った」。畜産技術などを学ぶ八ケ岳中央農業実践大学校(長野県原村)を卒業後、静岡県内での牧場勤務を経て昨年三月に入社した。
 後継者難にあえぐ酪農業界だが、ひそかにあこがれを抱いている若者は多いという。四月に入社した杉山華絵さん(24)=静岡市出身=もその一人だった。大学卒業後、いったん事務職に就いたものの夢を捨て切れず、ハローワークに通い詰めて転職先を探した。

県立農業大学校 環境充実農の教育

大分県立農業大学校(豊後大野市三重町)は、企業的農業に対応できる質の高い人材育成に向けて教育環境を充実させている。消費者の求める安全安心な農産物の生産や先進的技術が習得できる環境整備を進める。県が掲げる「もうかる農業」の実践者を増やし、将来の地域農業のけん引役も担ってもらう狙いがある。
 2014年度から3年間の改革プランを実行。農業現場で取得が増えているJGAP(生産工程管理手法)を3月に取得した。全国の農業大学校で初めて。専用の野菜出荷・調整室を整備した。食品の異物混入が社会問題化していることを踏まえ、学生は農薬管理や廃棄物の適正処理を実践で学んでいる。
 14年度から外部講師に企業経営やマーケティングなどを学ぶ総合経営特別講座も始めた。施設面では今後2年間で施設内の環境をICT(情報通信技術)機器で把握できる温室や、バイオマスエネルギーの小規模施設の整備を検討している。
 今春の卒業生(39人)の就農率は80%。過去2年も8割台で、全国の農業大学校でトップだった。企業的農家の規模拡大などで非農家出身者の受け皿が広がった。13年度は進路コーディネーター制度を導入して就職先のマッチングを始めた。
 課題となっている入学者数(定員60人)はここ2年間、50人台を確保。県立高校の再編で農業科単独校が消える中、大学校の役割は高まっている。
 一方、卒業生で就農した人の定着率は70%(今年3月時点)にとどまる。県は法人に対する労務管理の研修など学生の送り先の環境整備にも力を入れている。
 県立農業大学校は「地方創生を推進する上で農業は重要な位置づけになる。地域に若く意欲的な人材を送り出したい」としている。

<メ モ>
 今春の卒業生39人のうち就農した人の内訳は▽法人 25人▽自営 4人▽農業公社 2人。それ以外は▽農協などに就職 4人▽進学 3人▽一般企業に就職 1人。

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